「『私が悪い』と思った瞬間、胸の奥で何が起きていたか」

回復の途中

「私が悪い」
その言葉は、考えるよりも先に、体の奥から浮かび上がってくる。

何かトラブルが起きたとき。
相手の機嫌が少し曇ったとき。
理由はよく分からないけれど、胸がきゅっと縮む瞬間。

反射的に、そう思ってしまう。


でも、あるとき気づいた。
その声は、今の私の声じゃないかもしれない、と。

「私が悪い」と思った瞬間、
胸の奥では、説明できない緊張が走っていた。

・呼吸が浅くなる
・体が固まる
・早くこの場をやり過ごしたくなる

それは反省というより、防御に近かった。


昔の私は、
「誰かが不機嫌になる」
「空気が重くなる」
それだけで、危険を察知するように生きていた。

理由を考える余裕はない。
正しさを検証する時間もない。

ただ、
「自分が悪いことにしておけば、場が収まる」
それを何度も学習してきただけだった。


だから「私が悪い」は、
性格でも、謙虚さでもなかった。

生き延びるための、即席の答えだった。

そう思えたとき、
胸の奥が少しだけ、ゆるんだ。


今の私は、もうあの場所にいない。
あの頃ほど、命がかかっている場面でもない。

それでも体は、昔のやり方を覚えている。
だから反射的に、あの言葉が出てくる。

でもそれは、
「私はダメだ」という証拠じゃない。

あの頃、必死に生きてきた証拠だ。


「私が悪い」と思ったとき、
無理に打ち消さなくていい。

ただ、こう問いかけてみる。

これは、
“今の私”の声?
それとも、
“昔の私”が守るために出している声?

その問いだけで、世界は少し、静かになる。


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